不適切な行動の目的として挙げられる「賞賛を求める」とはどのようなものですか?

Category: こじれたコミュニケーションの5つの段階

「賞賛を求める」とは、こじれたコミュニケーションの第一段階で、子どもが「褒められない自分には価値がない」という考えから、賞賛されることによって集団内の居場所を得ようと「適切な行動」をとる状態であり、賞賛が得られなくなるとその行動をやめてしまうため、その行動自体ではなく他の貢献的な行動に注目して勇気づける必要があります。

こじれたコミュニケーションの5つの段階(子どもの不適切な行動の目的)、その第一段階が「賞賛を求める」です。子どもは大人(特に親や教師)に褒められることで集団の中に居場所を確保しようとして、「適切な行動」をとろうとします。つまり、「褒められない自分には価値がない」という考えに基づいているため、これはすでに勇気がくじかれた状態と捉えられます。ここで注意すべきは、子どもが適切な行動そのものではなく、それによって賞賛されることを重視しているという点です。

こうした子どもの行動は、表面上は不適切な行動に見えません。大人は当初、こうした行動に喜びなどの陽性感情を抱き、褒めてあげたいと感じるものです。しかし、子どもが繰り返し賞賛を求めてくると、次第にそれを煩わしく感じるようになっていきます。そして、子どもは賞賛が得られなくなると、ただちに適切な行動をやめてしまいます。子どもを褒めて育てる場合の弊害がここにあります。しかし、だからといってここで単純に褒めるのをやめてしまったり、あるいは子どもが競争に負けるなどして賞賛を得られなくなったりすると、次の段階の行動に移行してしまう可能性があるのです。

ここでの対応として重要なのは、子どもが賞賛のために行っている行動を褒めるのではなく、その子が意識せずに行っている共同体への貢献的な行動に注目することです。その子自身が「(褒められなくとも)自分には価値があり、ここに居場所がある」と感じられるよう、援助していくことが求められます。