人間が社会的な生き物である以上、他者からの承認を求めるのは自然な欲求ではないのですか?なぜそれを否定的に捉えるのですか?

Category: 承認欲求の否定について

アドラー心理学は承認を得ること自体を否定するのではなく、承認を「行動の唯一の目的」とすることを問題視しており、真の貢献とは社会(共同体)に有益な行動を選択することだと考えます。

アドラー心理学の立場は、他者から承認されようとすることを、何もかも否定するわけではありません。人々を仲間だと思い、自分には人々の役に立つ能力があると思うなら、有益な行動を人々に申し出るのは道義的な行為とさえいえます。そして貢献の成果があり、それにより他者から承認・称賛を得られたとしても、何も問題はありません。成果を皆で喜べばいいと思います。

問題なのは、そのような称賛が自分の行動の目標のすべてになってしまった場合です。称賛という見返りのために誰かの役に立とうとするのなら、アドラー心理学でいうところの共同体への貢献とはいえません。そうではなく、共同体の一員として、これはみんなにとってどういうことだろう。みんながしあわせになるために私はなにをすればいいだろうと考えて、そこで共同体に有益な行動を選択することこそを、私たちは貢献と呼んでいます。