よい人間関係

 
 アドラー心理学の性格理論である「ライフスタイル論」を、現代的な「物語(ナラティブ)」という文脈で捉えなおします。
 
 野田がシカゴで教わったアドラー心理学は認知主義的な立場のものでした。その後心理学の潮流は、構造主義、ポスト構造主義、社会構築主義へと変化しました。野田はそのなかで、アドラー心理学を構造主義的な立場で捉えなおす、という取り組みを行いました。その成果がこの「よい人間関係」にあらわれています。内容としては、「早期回想」を「ナラティブ」の文脈で読み解き、さらにそこから、これからの人生を幸福に生きていくための「物語」をつむぎ出していきます。
 
 この科目は野田が作成した最後の「特殊講義と演習」です。ですが、野田自身はここが着地点とは全く考えていなかったことでしょう。むしろこの科目は、これからの人類に対してアドラー心理学は、そして他ならぬ私たち自身には何ができるかを考えるための、俯瞰的な視野を育成する出発点になっているようにも思えます。「特殊講義と演習」の中では難しい部類に入るかもしれませんが、基礎講座を修了したばかりの方でも興味を持ってご参加いただける内容です。

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