共同体感覚を持つためには、他者を尊敬・信頼することを基本とし、『これはみんなにとってどういうことだろう。みんながしあわせになるために私はなにをすればいいだろう』という視点で考えて、日々のささやかな貢献を地道に積み重ねていくことです。
共同体感覚の育成とは、他者を尊敬し信頼しながら、どのように判断し行動すれば共同体に貢献できるかを実践のなかで深く学び、身につけていくことを意味します。共同体は家族であろうと、もっと大きなスケールの共同体であろうと、そこに所属する人々の、様々な貢献によって支えられています。すなわち他者への尊敬と信頼それ自体に加えて、勇気や慈愛に満ちた行動や、経験や知恵に基づいた深い洞察、謙虚で誠実な話し合いによる熟慮、広い視野に立った公正な判断など、人々に役立つ様々な行動の積み重ねから共同体は成り立っています。ゆえに、共同体への貢献の仕方を学ぶということは、倫理的・道徳的ともいえるそれらの行動を、日々の実践を通じて自分のものにしていくことに他なりません。
まず、普段からの心がけとして他者を尊敬し信頼すること、そして、ものごとを自分にとって有益かよりも、『これはみんなにとってどういうことだろう。みんながしあわせになるために私はなにをすればいいだろう』といった観点から考えることが重要です。『みんな』といっても、自分が直接関わっている人々だけを大切にするのではなく、自分自身とそれらの人々が所属しているより大きな共同体にも、さらには世の中全体にも貢献的かどうかを考えます。そして、日々の子育てや親孝行の中で、あるいは職場や学校の仲間との助け合いや、地元などで出会った様々な人々との関係の中などで、ささやかなことからで構わないので、「みんなが幸せになるために私にできること」を実行していきます。そうした地道な積み重ねこそが、共同体感覚の育成へとつながっていくのです。
なお、こうしたことを心がけて暮らすことは、あくまでも自分自身が決心して自分自身が行うことであって、決して他者に強いることではありません。他者にこれを強いれば、それは「共同体感覚」を育成することとは、正反対の生き方になってしまいます。
