共同体感覚を持つべき「共同体」とは、具体的にどの範囲を指すのですか? 家族、地域、国家、それとも全人類ですか?

Category: 幸福・共同体感覚・貢献感について

私たちが直接所属できる共同体は、家族などの身近な場から地域社会程度のスケールに限られますが、多様な共同体によって世界が網羅されているという視点に立てば、共同体感覚を持つべき「共同体」は全人類へと拡がります。

アドラー心理学でいう共同体(ゲマインシャフト)とは、人々が所属し協力しあって暮らすことのできる自然発生的な場のことを指し、家族や、職場あるいは学校などでの仲間といった身近なところから地域社会、さらには国家、人類全体、生命全体、時には無生物や宇宙にまで広がるとされる、非常に広範な概念です。対義語としてはゲゼルシャフトがあり、こちらは契約によって人工的に作られた社会組織を指します。残念ながら、人類は競合的ではない人類全体規模の共同体といったものを持ち得ていませんし、国家や企業などは基本的に契約によって作られた社会組織として営まれていますので、現在私たちが直接所属できる共同体は、スケールとしては地域社会どまりです。しかし、多種多様な共同体によって世界が網羅されている、という視点に立つならば、共同体感覚を持つべき「共同体」は人類全体へと拡がります。