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その他の疑問
いいえ、強さだけでなく「弱さを受け容れる」こと自体も勇気であり、共同体はいわゆる強さ以外の多様な美徳(誠実さ、慈愛など)によっても支えられるため、誰もが各様に貢献し助け合うことができます。
アドラー心理学では勇気という概念に関して、「強くなる」ことだけではなく、まず自分自身の弱さや不完全さを受け容れることを説いています。弱さを受け容れることも、共同体の一員としての勇気なのです。
また、「強さ」だけが共同体を支えているわけではありません。共同体には、誠実さ、謙虚さ、感謝、正義、節制、熟慮、慈愛、友情などの他の様々な美徳が、けっして欠かせません。強さばかりが重視されて、他の倫理的・道徳的側面に欠いた「共同体」に、私たちは安心して所属できるでしょうか。
私たちは、老いや病気など様々な障害のために、あるいは若さや幼さゆえに、「強さ」を発揮することが出来ないことがあります。しかしそうした場合にも、身につけている他の美徳を発揮することで、各人各様の仕方で共同体に貢献することができるのです。すなわちアドラー心理学の実践とは、お互いに内在する多様な貢献の可能性を見出しながら、仲間同士として助け合い協力し合って、ともに共同体を支えていこうとする道なのです。
