承認欲求が満たされないことで自己肯定感が下がったり、無気力になったりすることは考慮しないのですか?

Category: 承認欲求の否定について

承認が行動の唯一の目標であれば、それが得られない時に自己肯定感が低下したり無気力になったりする可能性は高いと考えられますが、アドラー心理学は自己肯定感そのものを最上の価値だとみなしません。

人々から承認されないことで自己肯定感が下がったり、無気力になったりするケースもありえます。人々にたいする行動の唯一の目標が「他者からの称賛」であった場合には、称賛が得られなければ、ご指摘の通り自己肯定感が低下したり、無気力になったりする可能性は非常に高まります。なぜなら陰性感情とは、自分の期待を満たさない事態に遭遇した際に感じられる感情に他ならないからです。

アドラー心理学は他者からの承認を求めること自体を否定するわけではありません。共同体の一員として役立ちたいという自然な気持ちから行動し、その結果として感謝や承認を得ることは、何ら問題ありません。しかし、見返りとして称賛を受けることだけを目的に行動することは、アドラー心理学では健全な生き方とは考えません。それでは称賛を受けたときだけ行動し、称賛がなければ何も行動しないことになるからです。

なお、時々誤解がみられるため付け加えますが、アドラー心理学は自己肯定感を何よりの価値とするものではありません。自己肯定感だけを目指す生き方は、アドラーのいう自己執着のひとつとして、共同体感覚とは矛盾します。

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