昨年末に「担任として思うこと」という題名で高校3年生の自分のクラスの生徒の様子を書かせていただきました。今回はその生徒たちが卒業したので、続きを再び書いてみようと思いました。前回は、「真面目で頑張り屋、そして何より優しい人が多いので、とても落ち着いた雰囲気の仲の良いクラスです。」と自分のクラスの紹介をしましたが、卒業までその雰囲気は変わらないどころか、ますますよいところを高めあいながら、過ごすことができました。
そんな優しく穏やかな生徒達ですが、受験本番では凛々しく力強く頑張り、驚異的な力?を発揮することができたのです。その感動冷めやらぬ状態で、親ばかならぬ担任ばかとして少し書いてみたいと思います。
先週、廊下で若い同僚に「何で一人でそんなにニコニコしながら歩いてるんですか?」と、つっこまれるくらい3月は嬉しい出来事が続きました。クラスのほとんどの生徒が自分の願っていた進路を叶えることができたからなのです。これは偶然ではなく、出来る限りアドラー心理学の実践をしてきた結果だ!と、勝手に確信しているものの、具体的には何をしてきたのかイマイチはっきりと分かりませんでした。細かな実践はいくつも思い当たるのですが、はっきりしたものは分からないままでした。
ところが先日、私が尊敬する先生に「僕はまだ先生みたいにあそこまで生徒を信じて信頼出来ないです。いつもすごいなぁと思って。あそこまで生徒を信頼するってのは、先生しか出来ないです。」と言われて、ハッとしました。その先生の一言で、私が実践できたのは、「相互尊敬、相互信頼、協力、目標の一致」かもしれないと思いました。
そういえば私は、ある時から自分で決心して毎日頑張っている生徒を「尊敬」しながら見ていました。家が遠いのに休日も休むことなく早朝から登校して勉強する生徒、暖房の入った教室だと眠くなるからと敢えて寒い廊下で放課後遅くまで勉強する生徒、何度も何度も納得するまで質問に来る生徒、急な母の死を乗り越え何事もなかったかのように頑張り続ける生徒…、本当に一人一人の頑張る姿を目の当たりにして、高校生ってすごいなあと、惚れ惚れと頼もしく思っていました。自然と生徒達を「尊敬」していたのだと思いました。
そして、そんな姿を毎日見ていたからか、「この子たちは絶対大丈夫。」と生徒達を「信頼」することができました。今回はたまたま入試の結果がよかったのですが、「たとえ結果が出なくてもこれだけ頑張れて、お互い協力し合えるこの子たちは絶対大丈夫。」と、いつも生徒を「信頼」していたのだと思いました。
そして、もちろん担任として生徒の進路実現に向けて協力し、目標の一致を図るために一人一人と出来る限りいろんな話をしてきました。後から考えれば、これが「協力」であり、「目標の一致」をする過程なのだと思いました。
こうして、3年生を無事送り出すことができました。
愛しい生徒が卒業すると同時に、11年間勤めていた今の学校からの異動が決まりました。今は寂しさでいっぱいの毎日です。でも、生徒たちは大丈夫。これからいろんなことがあっても無事乗り越え社会に貢献しながら頑張ってくれると信じています。
みんな、卒業おめでとう!
(AIJエンカレッジ金沢 石川県 M.I)