代表ご挨拶

 野田俊作が我が国にアドラー心理学を持ち帰り、日本語で学べるようにしてから約40年が経ちました。この間にアドラー心理学の名は広く世に知られるようになりました。アドラー心理学は治療技法としてたいへん優れていますから、心理学の各流派を超え、教育や福祉などの様々な分野でも著しい効果を上げています。アドラー心理学の技法がそのように利用されていること自体は、たいへん喜ばしいことだと思います。

 しかし、それは本当にアドラー心理学なのでしょうか?効果があり、多くの問題が解決しているなら、それがアドラー心理学であるかどうかなど気にすることはないというのが、今の世の趨勢かもしれません。でもその流れに、私たちは敢えて否と応えます。

 なぜなら、アドラー心理学にはアルフレッド・アドラーの思想という土台があり、思想と理論と技法の三つが揃った全体としてはじめてアドラー心理学が成り立つと考えるからです。アドラー心理学の理論や、技法を使った実践についての論文や報告は数多くありますが、アドラーの思想についてのまとまった論文は、野田俊作の著作に追随するものはありません。野田俊作はアドラーの思想こそを重視しました。彼の生き方そのものが、「その人の言うことではなくその人の行動を見よ」と言ったアドラーの思想の実践でした。ですから私たちは、アドラーの思想を中心に据えたアドラー心理学の教育実践を掲げます。

  一般財団法人野田俊作顕彰財団AIJは、野田俊作の遺族が、野田俊作の遺産を使って、野田俊作の遺した知的財産を次世代に伝えていくことを目的として設立した組織です。野田俊作から学んだアドラー心理学を研究し実践し、そのままの形で伝えて参ります。そうして「アドラーの魂」を、次の世代へ継承していきたいと心から願っております。

2021年10月吉日

一般財団法人 野田俊作顕彰財団 Adler Institute Japan

代表理事 野田文子

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