職場の上司や取引先など、力関係がある相手に対して「課題の分離」や「横の関係」を主張するのは現実的ですか?

Category: 実践の難しさ・現実との乖離について

「主張」するのではなく、まず自分から相手への関心と尊敬の念を持ち、自己の課題に責任を持って正しくアドラー心理学を「実践」することが基本であり、その姿勢は一般的な倫理観にも通じるため、健全な環境であれば信頼につながっていく可能性もあります。

主張するというより、まず自分自身が正しい「横の関係」や「課題の分離」を実践することが基本となります。そうすれば、たとえ力関係がある場合にも、あなたの姿勢や行動を理解くださる方がおられるかもしれません。なぜならば、アドラーの哲学は伝統的な道徳哲学の見解に通ずる面を持つからです。たとえば相手に関心と尊敬の念を持つこと、また相手の課題に過度に踏み込まず、自分の課題に責任を持つという姿勢は、アドラー心理学に限らず、一般的な倫理観や商道徳においても重要とされます。そのため、職場の環境や取引先との関係性がコンプライアンスの点で健全で充分に倫理的なものならば、アドラー心理学の実践があなた自身への信頼へとつながる局面があるかもしれません。

なお、「課題の分離」を他者との関わりを拒絶することだと誤解したり、「横の関係」を従来からいわれている「タテ社会・ヨコ社会」の意味合いでとらえている場合には、そのような主張や実践は、たしかに現実的とはいえないでしょう。

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