「あの時こうしていれば」という後悔の念も、未来への目的のために自分で作り出している感情なのですか?

Category: トラウマ・原因論の否定について

アドラー心理学では、後悔自体は自然な感情と認めますが、もし「あの時こうしていれば」といつまでもその気持ちに浸り続けている場合、それは「現在の困難から目をそらして何もしないこと」を正当化したり、周囲の「同情や援助」を求め続けたりするという、未来に向けた何らかの「目的」のためにその感情を用いている可能性があると考えます。

後悔という感情自体は自然なものとして認められます。しかし、後悔している出来事からすでに歳月が過ぎているにもかかわらず、いつまでも「あの時こうしていれば」とその気持ちに浸り続けているのなら、そこには何か別の「目的」が隠れている可能性をアドラー心理学は指摘します。つまり、「あの時違う選択をしていれば、今の苦労はなかったのに」と思い詰め、現在の困難をすべて過去のせいにして、今後も何もしないことを正当化していたり、周囲に「あの時の選択のせいで、こんなに私は不幸だ」と強調することで同情や援助を求め続けていたりする可能性があるのです。もしそうであれば、アドラー心理学のカウンセリングでは、その感情を未来への建設的な学びに変え、「これからどうするか」に目を向けるよう促すでしょう。

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