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幸福・共同体感覚・貢献感について
身近な共同体だけでなく、より大きな共同体からも目をそらさずに、そうした「みんな」にとってどういうことかを、広く多角的な視点で捉えることが求められます。
私たちは家族や友人関係だけでなく、地域、学校、職場といった様々なスケールの共同体に同時に所属しています。そしてそれらの共同体は、相互に関わり合いながら、広く世の中というものを形作っています。そのため個人の行動は、身近な共同体の内側だけで完結するものではありません。
アドラー心理学では「共同体感覚」について、これはみんなにとってどういうことだろう。みんながしあわせになるために私はなにをすればいいだろうと考えること、と説明しますが、ここでいう「みんな」とは、身近な人々だけを指す言葉ではありません。かといって身近な人々を抜きにした、空虚で抽象的な言葉でもないのです。アドラー心理学は、いきなり世の中の全体のことを考えよう、といった抽象的な思想ではありません。しかしだからといって、自分たちさえ良ければそれでいい、といったような独善的な思想でもありません。そのような極端な立場には立たず、自分自身を含む実際の身近な「みんな」のことを考えながら、そこから繋がり広がっていくより大きな共同体からも目をそらさずに、広く多角的な視点で身近なできごとを捉えようとすることが、「これはみんなにとってどういうことだろう」という言葉の真意なのです。
