「仮想的目標」と子どもの勇気―見守る中で気づいたこと

4月から高校生になった子ども。昨年度は高校受験のために頑張った1年でした。


12月の模試の結果では、志望校への合格にはまだまだ努力が必要な状況でした。志望校を決定しなければならない時期が迫る中、志望校へ一直線に頑張るのか、それとも合格圏内の高校に変更するのか、子ども自身も揺れており、私はどのように応援すればよいのか悩んでいました。そんな私の悩みを、「エピソード分析」を通して自助グループが支えてくださいました。


これまでにも自助グループで何度か「エピソード分析」をしていただきました。そしていつもプラス5のキラキラの「仮想的目標」を出すことに苦労します。
「これはプラス5ですが、これ以上望むことはありませんか?」と確認されるたびに、「うーん」と考え込んでしまいます。「仮想的目標」なのだから、自分が望むプラス5を見つければよいと頭では分かっているのですが、「現実的に起こりそうにない」「言いそうにない」という思いが残り、なかなか見つけることができません。
また、「仮想的目標」を考える時間は、自分が何を望んでいるのかを見つめる時間でもあります。その中で、相手を自分の思い通りに動かしたい身勝手さや、自分が上の立場に立ちたいという傲慢さに気づくこともあります。もしかすると、そんな自分と向き合うのが苦手なのかもしれません。


この12月に話を聴いていただいたエピソードでも、なかなかプラス5の「仮想的目標」にたどり着けず、何度も考え直しました。はじめは「合格できないかもしれない」という私の不安を解消するために、「志望校を変えるわ」と言ってほしいというものでしたが、それはプラス5にはなりませんでした。そして最終的に見つけた仮想的目標は、「お母さん、私、頑張るわ。見ていてね」でした。あのときの私は不安を抱えながらも、子どもの頑張りを心から応援したいと思っていたのです。


子どもも不安を抱えていたようですが、その不安は子ども自身が向き合い、乗り越えていくしかありません。私は自分の不安を子どもに解消してもらおうとせず、また子どもの不安を大きくするような言動も避け、淡々と応援することにしました。「課題の分離」を実践する時間でした。


志望校を変える決断もよし、志望校合格を目指して挑戦するのもよし、子どもがどちらを選んでも応援しようと決め、見守っていました。とはいえ、子ども自身が志望校変更を口にすることもあり、最終的には「合格」という安全な選択をするのだろうと思う気持ちの方が大きかったのが正直なところでした。ですが、学校や塾の先生に相談しながら悩み抜いた末に出した子どもの決断は、揺るぎない挑戦でした。志願倍率の報道にも動揺せず、その決断を貫きました。子どもは、私が思う以上に大きな勇気を持っていたのです。そして、その挑戦のために本当に努力を重ねました。


子どもの勇気ある決断と行動は、「合格」という結果を運んできてくれました。「現実的ではない」と私が思い込んでいたキラキラの仮想的目標は、子どもの頑張りによって現実となったのです。そして、子どもを信じることの大切さを学ばせてもらった貴重な親としての高校受験でした。


岐阜アドラー心理学研究会 岐阜 T.O