右旋回

 インターネットでは「ネット番組」というものを見ていることが多い。昨日話題にした『虎ノ門ニュース』もそうだし、他に『竹田恒泰チャンネル 2』だの『みやわきチャンネル』だのもそうだ。事情を知っている人には「右偏向した番組ばかりじゃないか」と言わるかもしれない。しかし、そもそも「左偏向」した番組がそんなにないし(ゼロかもしれない)、仮にあっても見ていてそうおもしろそうではないように思う。それでつい「右偏向」してしまう。

 いまは頭の論理性がかなり衰えているので、右偏向した番組を見ていても、私自身はそんなに過激に右偏向はしていない。いや、右偏向の事実はあるだろうけれど、それに凝り固まっているわけでもない。ただ左偏向番組はたぶん存在しないし、中道番組はテレビなどで見ることもできるし、インターネットに頼ると右偏向番組しか見ることができないだけのことだ。それを積み重ねていると、無意識のうちにすべての思想が右偏向してしまうのだと、見ながら思っている。そう怖れているわけでもないが。

 そうやって右偏向した番組を毎日見ていると、意見は必然的に右遷移する。さいわい、そのことに気がついてはいるので、どこででも自分の意見を述べるわけではない。なにしろ衆生の左偏向は根が深い。私がうっかり右偏向なことを言ったら、あとでどんなことを言われるかわかったものでない。さいわいそのあたりの感受性は、70年にわたる人生ですっかり身についた。だから、中身は右旋回しているかもしれないが、表面上は中道派のふりをしてすごすくらいの技はある。

 昨年のいまごろまでインターネット日記をつけていて、そこでは今より左寄りの意見を書いていた。もっとも、世間一般からみるとずいぶん右寄りだったかもしれない。1年ほど休憩して、日記を復活するときに、遠慮せず右寄りに書くことにした。もう足元をすくわれて倒れるような地味な足元はもっていないし、倒れたところでなにも失うものはないし、のんびりゆったりと自分の好きなことだけ書いて、それに腹を立てる人がいたら腹を立てておいていただくしかないと思うようになったから。