香港(4)

 香港情勢は悪化の一途だ。もう観光であっても香港へ行ってはいけないんだそうだ。つまりわれわれは香港の手助けもできないし、足引っ張りもできないという感じだ。香港は、ある種の「魔界」になってしまった。そこではそれなりの理屈が通っているのだろうけれど、その理屈はわれわれの世界では通用しないし、通用させてはいけない。ということは、向こう側、つまり中共側、でも、こちらの理屈はわかるけれど、通用させてはいけないということになるんだろう。つまり、こちらはこちら、向こうは向こうで、各々の内部での対話は成り立つが、相互の間では「対話不能」の状態に陥っている。こうなると、リラックスするしかないね。

 頭を冷やして考えてみるに、香港のような状態、つまり「今日さえ良ければ明日はどうなってもいい」状態、は、政治の方針としてははなはだ望ましくない。今日をむさぼればむさぼるほど、明日は暗くなっていく。もっとも香港民衆を迫害している警官にそういう自制心があるとも思えないがね。

 「穏健」な日本人は今の状態に苦しまない。自分が苦しまなくてすむからだ。私だって客観的にはそうなので、香港がどうなろうが、私の生活が影響を受けるわけではない。しかしねえ、アラブ諸国のどこかが滅びるのとは、やはり切実さが違う。え、香港は滅びるのかって? まあ、「日本的常識」から考えると、そうなんでしょうね。今年とか来年とかではないにしても、数年以内に限界が来ると思うな。まあ、実際にはやってみないとわからないが。