七飯アドラー心理学研究会では、月に一度、カウンセリングの勉強会を行っています。ある日、私はクライエント役となり、職場の上司との関係についてのエピソードを取り上げてもらいました。そこで得た気づきと、その後の上司との関係の変化についてシェアしたいと思います。
私の直属の上司は、猪突猛進なタイプで、「これだ!」と思ったことはすぐに行動へ移す人です。その一方で、業務上の細かな見落としをすることも少なくなく、そのたびに上司の知らないところで私がフォローをしていました。当時の私は「なぜ私が上司の尻拭いをしなければならないのか」と不満を抱いていました。また、上司は自分のミスに気づかないだけでなく、ときには人のせいにしているようにも見えていました。
勉強会では、クライエント役からエピソードを聴いた後、参加者全員で「クライエントに何を学んでもらうか」についてカンファレンスを行います。その中で「上司は『素』なんだ、ということを学んでもらってはどうか」という意見がありました。その言葉を聞いたとき、「ああ、自分は上司には悪気があると思い込んでいたんだ」とハッとしました。そして、そのことに気づいた途端、それまで体に入っていた力が一気に抜けていくような感覚がありました。
その後のカウンセリングでは、「上司は『素』なんだ」と学んでもらう方向で話を深めていきました。終盤、カウンセラーから「上司はどんな人ですか。どんな良いところがありますか」と尋ねられました。それに答えながら気づいたのは、上司には「フットワークが軽く、迷わず前へ進める」という大きな強みがある一方で、その勢いゆえに細かな点を取りこぼしてしまうことがある、ということでした。そして、上司は上司なりに最善を尽くしているのだと理解しました。
私は長年バレーボールをしてきたこともあり、「上司と私の関係は、アタッカーとリベロのようなものだ」というイメージがこのとき浮かびました。アタッカーは前だけを見て思い切りスパイクを打つ。もし打ち損じたりブロックされたりしても、後ろにはリベロがいる。リベロがボールを拾うからこそ、アタッカーは安心して何度でも攻めることができます。チームの中でそれぞれの役割があり、私はリベロとして支えればいいのだと思いました。
それまでの私は上司の尻拭いはイヤ!と思っていましたし、上司がポロポロ落としていくのを見て、冷ややかな視線を送っていましたが、その日を境に「上司が何か困ったことがあれば対応できるよう準備しておこう。上司が思い切り駆け抜けられるように後ろから援護しよう」と思えるようになりました。
その後、上司との関係は大きく変化しました。今では冗談を言い合って笑い合えるようになり、仕事の話も肩の力を抜いてできる関係になっています。
攻めるアタッカーと、守るリベロ。今振り返ると、お互いの得意・不得意という凹凸がぴったりとかみ合い、まるでパズルのピースがはまるような感覚でした。
七飯アドラー心理学研 K.S
