年次大会の旅で気付いた自分の変化

第3回AIJ年次大会が函館で開催された。回を重ねるごとに会場にゆったりとした心地よい空気が流れているように感じるが、私だけでなく、多くの人がそのように言っていたので、ここに集まるみんなが信頼・尊敬にもとづく【仲間】として所属できているのだろうと思う。

そして、もはや「いつものこと」だが、スタッフも参加者も、誰もがあたりまえのように「自分にできること」をすることで成り立っているこの場に感動する。

みんな、何らかの貢献をすることで【私は能力がある】と感じ、【人々は仲間】になり、よい所属が得られるんだろうな。まさに勇気づけられた状態!この雰囲気をぜひ体感してもらいたいなと思う。

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さて、今年は天候不良で函館への到着に苦労した方が多かった。私も何とか函館空港に着陸。そこからホテルまではバスで向かった。最寄りのバス停を降りると土砂降りの雨。Googleマップ片手にスーツケースを引き、強風でひっくり返りそうになる傘を気にしながら大通りを歩き始めた。しかし、方角がよく分からない。雨でスマホの画面もよく見えないし…。

とりあえず少し進むとお店の軒先にお兄さんが何名かいた。「道、聞いてもいいですか?」と尋ねると「自分も旅行で来て地元じゃないから分からない」とのこと。「バスを降りたら方角が分からなくって…」と言うと、「画面見せてもらっていいですか?」と私のGoogleマップを見てくれた。そして、反対側の通りにあるお店を目印に、丁寧に道案内してくれた。

「ありがと~!親切な若者に会えて嬉しい!」と言って進んでいくと、あれあれ、最寄りのバス停からホテルまでは徒歩1分と表示されていたはずが、徒歩2分、徒歩3分とどんどん離れていく。きっと間違っているんだと気付いたけれど、反対側の通りに渡らないといけないことは間違いなかったので、ともかく横断歩道を渡って、雨を凌げる建物の下に向かった。

スマホとにらめっこすること数分。多分あっちという方向が分かって歩き始めようとしたら、さっきのお兄さんのうちの1人が傘もささずにやってきた。偶然?と思いきや、どうやら追いかけてきてくれた模様。「心配してきてくれたの?」と言うと「間違って教えちゃったなと思って」と言う。

そこから一緒にホテルの方向に歩きながら、お互いどこから来たかなどおしゃべりして、もうあそこがホテルというあたりの交差点で信号待ちしていたら、もう1人のお兄さんも心配して来てくれて合流。「本当にありがとう!」と言うと、「いえいえ、間違ったこと言ってスミマセンでした」と言う。「いやー、お礼したいくらいだよ!!本当にありがとう!!」と言って、彼らとはそこでお別れ。

土砂降りの中、1分で着くはずのところ10分以上かかり、髪も服もびしょぬれ。靴がすっかり浸かるほどの水量になっている横断歩道をいくつも渡ったので足も冷たい。だけど、心はホッカホカで、その後も彼らを思い出すと、顔はニッコニコだった。

親切な若者に出会えたラッキーな話だっただけかもしれない。だけど、以前の私だったらきっとこうはならなかった。

まずあのタイミングで「えい!」と勇気を出して声をかけるなんてしなかったかもしれない。聞くとしたら、もっと自分1人でがんばって、それでも分からず困った際にようやく聞いていたか、そこまで1人がんばったのだから最後まで1人でやり遂げようと最後まで聞かず、孤独な時間が増えていたかもしれない。

聞き方も違って、もっとクールに用件のみのやりとりだったかもしれない。教えてもらった道のりが違っていたら、仕方ない…お兄さんに罪はない…と思いつつも「可哀そうな私」になっていたかもしれない。

でも、今の私はそんな風には全然思わなかったし、プラスの感情になったら、そのまま伝える私になっていた。(だから、お兄さんたちは追いかけてきてくれたのかもしれない。私が「親切な若者」と言ってしまったばかりに責任を感じて!?笑)

ずぶ濡れで大変な目に遭っても、その中の「よいところ」を見つけて、不幸な物語を幸せな物語に変えられる私になっていた!!

彼らにはもう会えないから直接恩は返せない。だけど、野田先生が「恩を返したらそこで閉じてしまうから、恩は送ればいい」とおっしゃっていたことを、いつでも思い出す。

幸せな物語の中にいた函館ステイ中、いくつ恩送りできたかな。おかげで、あそこでもここでも、見知らぬ方々とよい旅の思い出ができた。

アドラー心理学を学び、日々ぶら下げて実践して暮らしていると、いつの間にか自分のとる行動が変わっている。これって実はすごいことじゃない?私が変われば世界が変わる。

自分の変化に改めて気付くことができたのは、少し日常から離れた年次大会のゆったりした空気に包まれたからかな。来年は金沢。次の旅も今から楽しみ!

                                みえアドラーグループ「結」H.F