野田俊作論文集Ⅱ

日本におけるアドラー心理学の深化と展開——その後半生の到達点を集成した、待望の論文集。


本書『野田俊作論文集Ⅱ』は、2000年から2020年に至るまでの著作37編を収録し、著者・野田俊作の思想的成熟と探究の軌跡を余すところなく伝える一冊です。前作『野田俊作論文集』が基礎理論の紹介と東洋思想との接続を試みたものであったのに対し、本書ではその先にある「共同体感覚」の本質と、人間理解のさらなる深まりが描かれています。


本書の特徴は、単なる理論の紹介にとどまらず、アドラー心理学が現代世界においていかなる意味を持ちうるのかを、多角的に問い続けている点にあります。西欧哲学の系譜の中でアドラー思想を再定位し、その普遍性と可能性を探る試みは、心理学の枠を超えた知的刺激に満ちています。


また、日本語という言語的特性の中でアドラー心理学をどのように理解し実践していくかを模索した「エピソード分析」や、晩年のアドラーが示唆したスピリチュアリティの領域に踏み込んだ論考など、従来の枠組みを広げる意欲的な内容も収録されています。


野田俊作は37年にわたり、日本全国を巡りながら、多くの人々にアドラー心理学を直接伝え続けてきました。その活動は、子育てに悩む親たちや、生き方に迷う人々、そして援助者を志す人々に大きな影響を与え、日本におけるアドラー心理学の広がりを力強く牽引しました。本書には、そうした実践に裏打ちされた深い思索と、尽きることのない知への情熱が凝縮されています。


人と人とのつながりは、ひとつの行為が波紋のように広がり続けるもの——本書に込められた思想もまた、読む者の内面に静かに、しかし確かに影響を与え続けるでしょう。 『改訂 野田俊作論文集』とあわせて読むことで、ひとりの思想家が生涯をかけて築いたアドラー心理学の全体像に触れることができます。それは単なる知識ではなく、「人とどう関わり、どう生きるか」という問いに対する、実践的な指針でもあります。


いまを生きる私たちにとって、そしてこれからの未来にとって—— 本書は、よりよく生きるための確かな羅針盤となるでしょう。


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ご説明

<目次>

まえがき

第1章 理論

アドラー心理学と仏教における全体論

多重人格モデルのアドラー心理学/p>

アドラー心理学と現代心理療法の接点

私とは誰か

ポストモダン思想とアドラー心理学

共同体感覚と「かのように」

価値相対主義の系譜

アドラーはなぜ民主主義が嫌いだったか

アルフレッド・アドラー フィクションとしての心理学

アドラー心理学と人権思想

アドラー心理学の現在と未来

死に行く人を勇気づける

二十世紀前半の思想状況の中でのアドラー心理学

第2章 臨床

選択できない可能性

カウンセリングのデザイン

真心を目覚めさせる

アドレリアン・セラピーとは何か

語りなおしとしての心理療法

ライフスタイル分析の新しい方法(1)現在の問題の語りなおし

ライフスタイル分析の新しい方法(2)家族布置と早期回想の分析

ライフスタイル分析の新しい方法(3)考察

ライフスタイル論をめぐる考察

エピソード分析

エピソード分析のアルゴリズム

エピソード分析と治療共同体

アドラー心理学(1)

アドラー心理学(2)

第3章 翻訳

モザク博士の反折衷論

他者とは誰か?アドラーと禅における共同体感覚と縁起相依性

ユダヤ思想とアドラーの個人心理学の類似性

アドラー心理学のアイデンティティに関するチューリッヒ宣言

共産主義と心理学

第4章 巻頭言・講演・対談

日本アドラー心理学会20周年記念インタビュー

還暦記念講演 物語と人生

巻頭言 本物のアドラー心理学について

日本アドラー心理学会35周年記念インタビュー/p>

巻頭言 アドラー心理学の未来のために

学会年表

人名索引

索引

あとがき

 


執筆者:野田俊作
編集者:野田文子 大塚優子
発行者:一般財団法人 野田俊作顕彰財団 Adler Institute Japan
編集:西舞子編集工房
印刷所:広和印刷株式会社
装丁:函入布装金箔押糸綴角背上製本
サイズ:B5判383頁

ISBN:978-4-9912596-2-3

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