定番メニュー

 この日記は毎日書いているが、どうしても「まんねり」になる。目下の「まんねり」は、決まり切った結末について決まり切った結論を書いてしまうことだ。そうならないようにするにはふたつ手があって、ひとつ目は別の話題を書くこと、ふたつ目は同じ話題でも別の切り口をみつけることだ。ところが、ふたつ目は現在は使いにくい。毎日同じ家の中でひっそりと暮らしているので、生活の幅が狭すぎて、別の切り口がみつからない。かといって同じ切り口だと同じような話題しか書けない。この話題についてもっとも典型的にあらわれているのが夕食のメニューだ。

 今日は夕食を作らなくてよいことになったことは書いたと思うが、明日も作らなくてよくなった。「なぜ」作らなくていいのかは私にとってはどうでもいい話題で、要は作らなくていい理屈があるのだ。妻は鶏肉あるいは豚肉が多いので、私の巡り合わせとしては牛肉か魚肉になりやすい。牛肉はそんなにヴァラエティがないので、ある晩に採用するとしばらく使えない。そこで魚肉に頼ることになる。明日は私が当番のつもりだったので魚肉を買おうとしていたのだが、中止になったので月曜日の献立を考えることになった。まあ、魚肉だろうな。いや、それまでに気が変るかもしれない。今日は買わないので、いまはまだ決めない。

 メニューを決めるときには、辻調理専門学校編『日本料理プロの隠し技』と『西洋料理プロの隠し技』(いずれも光文社)という本を持っていて、まずこれらを見る。そこでよいメニューが見つかれば、それを作る。もし見つからなければ、志の島忠『日本料理総菜事典』(講談社)という本を見る。これには普通考えつくメニューがすべて書かれている。そうしてメニューを決めて、それを作る。これまでに紹介したメニューもすべてこれらから出ている。

 多分これらの本は絶版だろうから、読者がもし購入なさるなら別の本を探していただかないといけないが、こういう本があると便利だ。定番メニューが作れるためには定番マニュアルが必要だ。