老先生の古学説

 今日は朝から日本アドラー心理学会の理事さんが2人おみえになって、あれこれお話をなさっていた。アドラー心理学関係の話を私からもちかけることはもうない。力のある理事さんたちのお話を伺って、賛成であれば「私もそう思う」と言うし、反対であれば「私は別のことを考えているけれど、それはそれでかまわない」と言う。

 もっとも、私が反対すると、理事さんたちは私の意見を聞きたがる。あまり積極的になりすぎないように注意しながら私の意見を言うときもあるし、消極的になって言わないときもある。日本のアドラー心理学に関しては、私の役割はもう終わっていると思う。すくなくとも、新しいアイデアを提示することはもうないだろう。だから私にできることは、むかし解説したことをもういちど繰り返すだけのことだ。「老先生」だな。若いときの学説を繰り返す。それ以上の「徳」は、いまの私にはもはやない。

 というわけで、今日も「むかしの学説」を繰り返していた。そのうち人々は私の説に関心をもたなくなり、やってこなくなるかもしれない。まあ、そのころには私の身体の命が終わりかけているんだろうけれどね。