人生を紡ぐ

お掃除は週2回ほど、気が向いた時間に掃除機をかけていたが、ある講座に参加した翌日から朝一番に掃除をするようになった。以来毎朝、掃除機をかけている。

きっかけは二つ。

一つは、今年の1月、『特殊講義と演習「葛藤解決」@桑名』の講座で、講師のお話を聞いた後のワークで4人グループになった。その中のお一人Aさん、4人家族(父・母・中1男子・年中)は、一番に起きた人が、フローリングワイパーをかけてお掃除をしているのだそう。どうしてかというと、夜、部屋に誰も居なくなったら舞っていた埃が床に降りる。その埃は朝一番とそれ以外では取れ高に違いがあるのだとか。だからその時にお掃除をするとのこと。なるほど~!と合点がいった。朝一番に掃除をする意味がよく分かり腑に落ちた。しかもご家族で協力してお掃除をしておられるお姿が話を伺って想像できた。

もう一つは、講座の数日後、タイミングよろしく『野田俊作ライブラリ』(AIJホームページ「講座・事業」にあります。)を聞く機会に恵まれた。「未来に向かう子育て 質疑応答」の中で出た質問「『どうせ』をよく使う息子(※下部に詳しく記載)」に、応答された野田先生の「人生ってお掃除なんですよ。」というお話は、その時の私にたいへんヒットした。…という訳でありがたいことに野田先生からも勇気をいただいた。

これまで心の片隅では、お掃除はできれば朝、せめて午前中のうちにして気持ちよく一日をスタートさせたいものだ!とずーっと思いはありつつ、たまにしか実行できず暮らしてきた。

お掃除について思い出すことがある。それは高校3年間お世話になった下宿のおばさんの言葉。私が下宿の階段を掃除していた時、「一段ずつ、お父さんありがとうございます。お母さんありがとうございます。って感謝しながら雑巾がけをするといいよ。」と教えてもらった。すぐに教えてもらった通りに階段を拭いたら、ありがたい気持ちになり涙が溢れてきたのを思い出す。今もときどき掃除機をかけるときお唱えをしながら感謝をしている。家族だけでなくこれまでに出会った方々を思い浮かべながら——。

『野田俊作ライブラリ』の野田先生のお話を聞いて、一日一日をていねいに生きたいものだと思う。Aさんご家族に、お掃除を朝一番にすることの意味を、体験を通して伝えてもらえたことがとてもありがたい。コツコツするのをまず私が楽しみたい。朝、お掃除すると身も心も清々しく一日が始められる!と実感中。

※『野田俊作ライブラリ』「未来に向かう子育て 質疑応答 2013」15番目の質疑応答から抜粋

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Q:10歳の息子が「どうせー」という言葉をよく使います。(中略)息子とどのように話し合い、どのように向き合っていけばよいでしょうか?

A: (略)人生についてこの子よく分かっていない。人生ってお掃除なんですよ。僕、人生って掃除だと思っているの。

生命活動とは何か。哲学的な話がありまして、医学部で習うんですけど。生命活動とは、ネゲントロピー(negentropy)だと。ネガティブ・エントロピー( negative entropy)だと。エントロピー(entropy)とは何か、というとゴミが増えることなんです。ネガティブ・エントロピーというのは、ゴミを減らすこと。細胞の中に老廃物が溜まるんですよ。老廃物を絶えず排出する作用が単細胞動物からあるんですよ。僕ら大きな多細胞動物も一つ一つの細胞が老廃物を廃棄しておりますが、老廃物を廃棄する専門の器官が二つありまして、一つが肝臓で一つが腎臓なんですね。水溶性の老廃物は腎臓から排泄をして、水に溶けない老廃物は肝臓で処理をするんですね。そうやって老廃物を処理することが生きるということの本来の姿なんです。

人間そのものも全体として自分の周りの老廃物を絶えず処理していくんです。身体の中に溜まった老廃物を食べるとか呼吸するとかで処理するし、家に溜まったゴミは掃除して掃きだすし、社会の中に溜まっていくゴミは時々選挙して新しい議員さんを選んだりして新しい法律を作ったりして、新しい状況に合わせていくわけ。

だからその毎日毎日、毎日毎日繰り返して古くなったものを新しくしていくこと。新陳代謝していくこと。更新していくことが、これが人生で、この中に人生の最大の喜びがあるんですよ。人生って何が楽しいって掃除することが楽しいんです。信じないだろうけど。掃除してみると、あー掃除って気持ちイイなーと思うじゃないですか。だから毎日毎日お掃除をする。頭の中も段々腐りますから毎日毎日勉強して、新しいことをつめます。でも腐りまして忘れます。忘れたり間違ったり。また、どんどんつめます。完全に理解するということはないですね。(略)

だから「どうせ―」はないんです。やったってどうせ汚れるはないんです。そうゆうものなんです。コツコツやるのをまず親が楽しむことね。毎日毎日の生活の繰り返しを楽しんでいるのを見れば、子どももああそうなんだ。って分かっていくと思う。

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(岐阜アドラー心理学研究会 岐阜 Y.K)