私が働いている知的障害の方の授産施設での実践についてお話ししたいと思います。
クラス会議を始めたことで、その効果がいかに絶大であったかというお話です。
以前はバラバラで、利用者さん一人ひとりが個別に職員と繋がっているような感覚だったクラスが、今では利用者さん同士で関わり合い、助け合える力強い集団へと変わってきました。
きっかけは、アドラー心理学の「勇気づけ(エンカレッジメント)カード」を職場で活用しようと考えたことでした。その運用方法をライブラリや著作で調べていた際、野田俊作先生が「クラス会議をしないクラスはアドラーのクラスではない。これがベースである」とおっしゃっているのを聞き、「これはやらんとあかんな」と一念発起して始めたのです。
クラス会議では、まずは全員で「みんなで助け合うクラスにしよう」と目標を一致させることから始 めました。私が「助け合いたくない人はいないですよね?」と聞くと、皆さん素直に「そんなんおらへん」と笑って返してくれます。ただ集まってこの話を共有するだけで、クラス全体に「みんなで頑張ろう」という活気が生まれ、目標を一致させることの大切さを肌で実感しました。
会議では、最近あった良かったことを発表する時間を長めに設けています。最初はなかなか言葉が出なかった自閉症の方も、週に一度の習慣になるにつれ、自ら「これが良かった」と話してくれるようになりました。対人関係が苦手とされる自閉症の方も、みんなが目標を一つにして集まっている場所に、自然と座って参加している。その姿を見ていると、人間にとって「所属すること」がいかに根源的な喜びであり、社会の中で生きることがいかに大切であるかを改めて強く感じます。
回数を重ねるうちに、個人の「困りごと」をみんなで解決するグループカウンセリングのような場へと発展していきました。例えば、仕事中に何度も廊下へ出てしまうAさんという方がいました。本人に許可を得て「Aさんが廊下に出ちゃうとき、みんなで助けられることはないかな?」と相談すると、「そっとしてあげよう」「次の仕事がわからないのかもしれないから教えてあげよう」と、仲間から次々に案が出されました。ちょうど会議の最中にAさんが席を立って廊下にでることがありました。その際、仲間がすぐに声をかけに行き、Aさんが笑顔で戻ってくるという成功体験もありました。 今では、誰かが廊下に出ても、職員が行く前に利用者さん同士で「どうした? 仕事ないの?」と声をかけ合い、助け合う姿が日常的に見られるようになっています。
毎週のクラス会議を通じて、利用者さん同士の相互協力が活発になり、クラスの質がどんどん高まっていくのを実感しています。
以上、私のアドラーこぼれ話でした。
京都アドラーグループ M.M.
