昨日は大津市内で行なわれた『パセージ・リーダー養成』というものを見に行ってきた。『パセージ』(子育てのグループ・セミナー)のリーダー・トレーニングだ。かつて私がやっていたのだが、体力もなくなったし、もういい年だし、後輩に譲った。見学に行くのは今年が初めてだ。なぜなら、今年からはじまったから。さて、うまくできますかどうですか。
3日間連続で講座をするのだけれど、今回私が出たのは最初の30分と、それに続く1時間だけだ。最初の30分には、司会の仕方について考えていることを言った。リーダーさんたちがただちに使える知識ではないかもしれないが、知っておくといつか役に立てることができるだろう。続く1時間は新しい指導者養成担当の話を聴いていた。ちゃんと受け継がれているようで、きわめてうれしい。
アドラー心理学は、主として子供たちに対する育児や教育を中心に発達してきた。大人の問題も扱うけれど、その場合でも、あくまで子供の問題の応用問題として扱う感じだ。
大きな問題点は3つほどある。ひとつは、「親や子供が今まで努力してきた方向に答えはない」という原理だ。たとえば親が子供を叱ってしつけようとしているが、一向に成果があがらないとする。かといって誉めればよいというものでもない。そういう方向では答えは出ないと、最初にまず考えることにする。育児グループを学ぶということは、育児についての考え方ややり方をやめてみて、違う考え方ややり方を学ぶ決心をすることからはじまる。
2番目は、「子供に問題があるというよりは、親が目指している育児の方向に問題がある」という原理だ。子育てのグループに出ると、ある方向に問題を分析するように「勇気づけ」られる。それは、それまで考えてきた育児の方法とは違っている。最初はみんなビックリするのだけれど、そのうち少しずつ納得してくださるようになる。8週間も、毎週毎週「あなたの考え方そのものに問題がある」という意味のことを言われ続けるTと、多くの親は育児の方針を根本的に変えることになる。
3番目は、「子供の問題点を指摘するのが方法ではなく、子供の長所に注目することが方法だ」という原理だ。その結果、親子の対話からネガティブな単語が減ってゆき、相手を思いやるメッセージが増えてくる。『パセージ』という子育てのコースに8週間も出ると、多くの親は変容して、「勇気くじき」をやめて「勇気づけ」をしてくれるようになる。そうしてはじめて、アドラー心理学の育児を学ぶ準備ができたことになる。