惊奇日本(2)

 惊奇日本は、面白いといえば面白いし、くだらないといえばくだらないサイトだ。正面切って、「あんなサイトのなにが面白いの?」と聴かれると、う~んと困ってしまうしかない。なんだろうね。

 「食べ歩き」をするわけだけれど、典型的な日本食はすくないし、かといって典型的な外国食もすくない。「こんなの日本食じゃない」と注文をつけると、そういうわけでもない。かといって「外国食じゃないか」というと、そういうわけでもない。

 むかしからこういうのが好きではある。19世紀後半から西洋音楽では「東洋ノリ」の音楽が作られて、その中に「なんとなく東洋風」な食物が出てくることもある。冷静に検討するとそういう食物は存在しないのだけれど、ひょっとすると存在するのかもしれないと思ってしまう。ファンとしては、1日そういう音楽を聴いていて、出てきた献立を食べた気になったりする。「じゃあ、作ってみなよ」といわれると、ちゃんとしたレシピがあるわけじゃないし、嘘でたらめであることがわかる。

 惊奇日本に出てくるレシピも、いくぶんそういう雰囲気はある。「たしかに日本っていうと、そういう料理を思うんだろうな」とは思うが、かといって、それが典型的な日本料理であるとはかぎらない。こういう「ゆれ」のある認識から、新しい献立が出てくることもあるので、別に非難するつもりはない。実例をあげると、古いところではトンカツだってビーフシチューだってそういうものだし、最近(というほど新しくはないが)のものだと牛丼だとかラーメンとかもそうだ。それらの料理のオリジナルは外国にあったのだけれど、長い年月の間に「日本化」されて、すっかり日本独自のものになってしまっている。困ったことに(かな?)、現代の大衆的な「日本料理」の多くはこういうたぐいのエスニックだ。まあ、そういう時代なんだろう。