老後の仕事

 暇な日はなるべく夕食を作ることにした。といっても、週に1回か2回なんだろうけれど、なにはともあれ私の好みで食事を作れるのが嬉しい。今夜は鶏のモモ肉シチューにしよう。むかしはビーフ・シチューをよく作ったのだけれど、この年になるとチキン・シチューの方が年相応な気がする。ケチャップ味ではなくホワイトソース味にする。

 シチュー料理というのはいかにも西洋風だ。しかし中身を見ると日本風だ。たとえばジャガイモだのタマネギだのニンジンだのをつけ合わせにする。別にジャガイモやタマネギやニンジンでなくてもいいので、自宅にあり合わせの野菜を使えばよい。今日はこれらにインゲン豆を加えた。これらの野菜が「西洋風」なわけではないが、かといって完全に「日本風」になりおおせているわけでもない。

 今後の生き方について考えているのだが、さしあたってこれを「老後の仕事」にあてようかな。夕食なんて「男性的」じゃないって思われるかもしれないが、でもね、かえって現代的かもしれない。なぜなら、戦乱の時代には夕食は男性の兵士たちが作っていたかもしれないから。老後の主な仕事が「夕食作り」になって、アドラーの仲間たちがそれを食べに来てくれるのも、いい生活だ。