中間語の力

 『ターラー菩薩成就法』の追加翻訳は遅々として進んでいない。理由は、原文が長すぎることだ。典礼用の文章なのでそんなに高度な内容ではないのだけれど、とにかく神秘めかしてあって、そう簡単に翻訳ができない。ええと、どう言えばいいのかな、「君が代」を現代語訳するとするでしょ、「さざれいしの、いわをとなりて」あたりが現代語にぴったりとはまらない。類似語だの相当語だのは言えるのだが、「ぴったり」という言葉にそぐわない。そういう感じだ。たぶんチベット語と英語の相性がそれほどよくないのだろう。

 やっぱりチベット語(あるいはサンスクリット)がないと、適切な翻訳はできない。やってみてつくづくと悟ったな。かといって、手元にはチベット語訳はないんだし、英訳文から翻訳せざるをえない状況だ。秋に台湾へ行く予定なので、ひょっとするとそのときに漢語版を手に入れることができるかもしれない。漢訳版は台湾で出版されているはずだ。