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幸福・共同体感覚・貢献感について
アドラー心理学の「共同体」は、家族から宇宙までどこまでも広がる可能性を持っています。その範囲を定めることはできません。
テンニエスによれば人間社会のあり方には2つあるとされ、ひとつを血縁共同体(ゲマインシャフト)、もうひとつを契約社会(ゲゼルシャフト)と呼びます。アドラー心理学でいう「共同体」は、血縁共同体(ゲマインシャフト)のことです。ゲマインシャフトは、ひとつの家族のように、精神的な絆によって結びついている集団を意味します。したがって非常に広範な概念であり、具体的には家族や職場あるいは学校などの仲間といった身近なところから、ふだん暮らしている地域社会、可能性としては国家や人類規模の共同体も想定できます。また、時には生命全体や無生物、宇宙にまで広がるとされることもあります。
一方の契約社会(ゲゼルシャフト)は、その名のように契約によって成り立つ社会で、人々を結びつける力は多くの場合は利益であり、それ以上の精神的な結びつきはありません。現代の国家は通常ゲゼルシャフトとして営まれており、一定以上の規模の企業も同様といえます。野田はゲゼルシャフトの役割を認めながらも、その中では人が道徳的にふるまうことは難しいと考えました。
さて、共同体感覚を持つべき範囲ですが、これを定めることはできません。もしも、「この範囲の共同体に対して有益な行動をとるべきだ」と唱えるなら、その構造はそのまま全体主義(ファシズム)と同じになってしまうでしょう。それはアドラーが最も忌み嫌ったことです。共同体感覚の範囲は、個人がそれぞれの成長に応じて決めるものだと考えます。
