アドラー心理学で対応できる場合と、心療内科や発達専門医、精神科医等の専門医療機関や、他の心理専門職、福祉専門職による対応が必要になる場合とを、どのようにして区別すればいいでしょうか。

Category: その他の疑問

アドラー心理学のカウンセリングと心理療法は対人関係やライフスタイルの改善を目的とするため、クライアント個人の心身の症状が前面に出ている場合は、背景に対人関係の問題が疑われる場合であっても、心療内科や精神科などの専門医療機関への受診を最優先とします。

アドラー心理学におけるカウンセリングは対人関係における問題を解決しようとするものであり、心理療法はよりよい人間関係を構築するためにクライアントのライフスタイルを改善しようとするものですから、クライアントの相談内容がそうした一般の対人関係に関するものでなく、クライアント個人の身体症状あるいは病的な心理状態の改善、ないし発達特性に起因する適応上の困難や二次障害の改善を目的としている場合には、第一の選択肢として専門医療機関(心療内科、精神科、発達専門医など)に繋ぐことを考えなくてはなりません。

特に、深刻な抑うつ、希死念慮、急性期の精神病状態、激しい不安や重度の不眠などが見られる場合は、医療による治療や投薬を優先し、症状が落ち着くまでカウンセリングを行わないのが鉄則です。たとえ症状が安定しても、カウンセリング開始にあたっては担当医の医学的判断が必須であり、もしも悪化した場合にはカウンセリングを中断するなど、医師との連携が欠かせません。症状の緩和後に残った対人関係の課題を扱うのが、アドラー心理学の領域です。一般に、神経症的傾向のある方に対するアドラー心理学のカウンセリングや心理療法の有効性は認められています。しかし、医療機関にかかっていない方であっても、不安定な時期には無理をせず専門医に相談することが推奨されます。カウンセラー側も安易に抱え込まず、医療機関への受診を促した上で慎重に判断する必要があります。

さらに、経済困窮や社会的孤立などの問題がある場合には、保健所や精神保健福祉センターといった社会資源や福祉的支援への接続が必要です。野田俊作はこれをケースワーキングと呼んで、カウンセリングや心理療法と区別しました。

いずれにせよ、迷う場合は専門医や専門職の判断を仰ぎ、正確な診断と適切な治療を優先すべきです。