香港はどんどん状態が悪くなるが、しかし私がここでなにか書いてもどうなるものでもない。それよりも、どうにかなるかもしれない話題に方針を変える。
安倍総理大臣の政策は基本的には賛成だ。(「基本的には」というのは、そうでないこともあるということだ)。大っぴらに「賛成だ」と書くと、「あなたは『右翼』だから、それはそうでしょうね」と言われそうだ。いいえ、私は『右翼』ではありません。あえて分類するなら『保守』かなあ。このあたりの区別が世の中でおろそかになっている気がする。
極右破壊集団を『右翼』と呼ぶこともあって、さすがに私を「破壊集団」の一味だと思う人はいないみたいだ。それよりもうすこしおだやかに、「戦前の体制を復興したい人」を右翼という場合もある。これも私はあたらない。戦前の思想に関しては、当時の「右翼」、つまり軍部過激派にも批判的だし、当時の「左翼」、つまり遵法穏健派にも批判的だ。どっちも「あかん」ので、じゃあなにが「よい」のかと言うと、たとえば保田與重郎などを「よい」と感じる。彼は軍部過激派に批判的だったのはもちろん、遵法穏健派にも批判的で、彼独自の(と言っても、よく考えると常識的なのだが)立場を提唱した。それは戦前も戦中も戦後も一貫していた。だから戦前も変人だと思われ戦後も変人だと思われている。日本人の多数派とはなじまない人格・言論を持った人だ。どんな風かといわれると、説明が面倒なので、
桶谷秀昭: 保田与重郎 講談社学術文庫
あたりを読んでいただきたい。新学社から保田與重郎全集も今も出ているので、直接に触れてみたいなら、それもいい。
とにかく彼のような「過激」な、あるいは「新鮮」な、『正統思想』(と私は思っている)に触れておけば、私の「奇妙な」構えも「普通」に思えてくるだろう。私の根本意識は「日本とは何か」であり、すべてをそこから判断しようとしている。保田はそのようにしたので一生を不遇(?)のうちにすごした。私もそういうことになるんだろうね。